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相続などをきっかけに不動産が共有名義になると、持分の売却や贈与、放棄など、共有名義の解消を検討することがあります。しかし、方法によって必要な手続きや税金が異なるため、手数料や費用がどのくらいかかるのかは分かりにくいものです。結論からお伝えすると、共有名義の解消で基本となる手数料・費用は、登録免許税と司法書士報酬です。ここに贈与税や不動産取得税、仲介手数料などが加わるかどうかは、選ぶ方法によって変わります。
本記事では、共有名義の解消方法ごとに、登録免許税と司法書士報酬、別途発生する税金や手数料・費用を比較します。固定資産税評価額を使った計算例も紹介するため、ご自身のケースにかかる手数料・費用の目安を確認してみてください。
この記事でわかること
- 共有名義の解消にかかる手数料・費用の内訳
- 登録免許税の計算方法と税率の違い
- 司法書士報酬の相場と高くなる条件
- 贈与税・譲渡所得税などの負担者
- 仲介手数料の上限額と計算方法
目次
共有名義の解消にかかる手数料を方法別に比較

共有名義の解消で基本となる手数料・費用は、登録免許税と司法書士報酬です。選ぶ方法によっては、贈与税や不動産取得税、仲介手数料などもかかります。
まずは、方法ごとの違いを確認していきましょう。
1-1. 主な手数料・費用は登録免許税と司法書士報酬
共有名義を解消して登記名義を変更する際は、主に次の手数料・費用がかかります。
- 登録免許税
- 司法書士報酬
登録免許税は、所有権移転登記を申請する際に国へ納める税金です。共有持分を別の人へ移し、登記名義を書き換える場合に発生します。
司法書士報酬は、登記申請書の作成や法務局への申請を司法書士へ依頼した場合に支払う手数料です。証明書の取得費や郵送費などの実費が別途加算されることもあります。
贈与や売買を選んだ場合は、贈与税・不動産取得税・印紙税・譲渡所得税なども考慮しなければなりません。仲介会社を通じて持分を売却する場合は、仲介手数料も必要です。
登録免許税は2章、司法書士報酬は3章、その他の税金や手数料・費用は4章で解説します。
1-2. 解消方法別の手数料比較表
共有名義の解消方法ごとに、登録免許税率や別途発生する手数料・費用についてまとめました。
| 解消方法 | 登録免許税 |
|---|---|
| 持分売却(買取業者など第三者へ) | 土地1.5%・建物0.3%※ |
| 共有者間の売買 | 土地1.5%・建物0.3%※ |
| 贈与 | 2% |
| 持分放棄 | 2% |
※土地・建物ともに軽減税率を用いています。
登録免許税は評価額と解消方法で変わる

登録免許税は、不動産の固定資産税評価額、移転する持分割合、解消方法ごとの税率を使って計算します。
2-1. 計算式は評価額×移転する持分割合×税率
登録免許税の計算式は次のとおりです。
固定資産税評価額×移転する持分割合×税率
共有持分の移転登記では、不動産全体の評価額ではなく、移転する持分に対応する価額を課税価格とします。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の不動産について、持分2分の1を移転する場合、課税価格は500万円です。
固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書の「価格」欄で確認できます。課税明細書が手元にない場合は、不動産が所在する市区町村で固定資産評価証明書を取得してください。
私道など、固定資産課税台帳に価格が登録されていない不動産については、管轄の登記所へ課税価格を確認する必要があります。
2-2. 解消方法ごとの税率の違い
解消方法ごとの登録免許税率は次のとおりです。
| 解消方法 | 本則税率 | 軽減税率(適用期限) |
|---|---|---|
| 土地の売買 | 2.0% | 1.5%(令和11年3月31日まで) |
| 建物の売買 | 2.0% | 0.3%※(令和9年3月31日まで) |
| 贈与 | 2.0% | 適用なし |
| 持分放棄 | 2.0% | 適用なし |
※一定の要件を満たす住宅用家屋が対象です。長期優良住宅や低炭素住宅、買取再販住宅などでは、0.1%または0.2%まで軽減される場合があります。
※一定の要件を満たす住宅用家屋が対象です。長期優良住宅や低炭素住宅、買取再販住宅などでは、0.1%または0.2%まで軽減される場合があります。
土地の売買には軽減措置が設けられており、令和11年3月31日までに受ける所有権移転登記は1.5%が適用されます。
建物の売買でも、住宅用家屋の要件を満たす場合は軽減税率が適用されます。一方、贈与と持分放棄による所有権移転登記は軽減措置の対象外で、本則税率は2.0%です。
2-3. 登録免許税を評価額別にシミュレーション
固定資産税評価額と持分割合が分かれば、登録免許税の目安を計算できます。以下では、土地と建物の売買に軽減税率が適用されるケースでシミュレーションします。
2-3-1. 評価額1,000万円・持分2分の1の場合
固定資産税評価額1,000万円の不動産について、持分2分の1を移転するケースを考えます。
課税価格は次のとおりです。
1,000万円×2分の1=500万円
登録免許税は、解消方法や不動産の種類によって次のように変わります。
- 土地の売買(1.5%):500万円×1.5%=7万5,000円
- 建物の売買(住宅用家屋・0.3%):500万円×0.3%=1万5,000円
- 土地・建物の贈与・持分放棄(2%):500万円×2%=10万円
2-3-2. 土地と建物を売買する場合
戸建てなど、土地と建物をまとめて売買する場合は、それぞれの固定資産税評価額に対応する税率を掛けて計算します。
土地の固定資産税評価額が600万円、建物が400万円で、それぞれ持分2分の1を売買する場合の計算は次のとおりです。
- 土地:600万円×2分の1×1.5%=4万5,000円
- 建物(住宅用家屋):400万円×2分の1×0.3%=6,000円
- 合計:5万1,000円
司法書士報酬は依頼内容によって異なる

所有権移転登記を司法書士へ依頼する場合は、登録免許税とは別に司法書士報酬がかかります。
報酬額には統一された基準がなく、依頼する事務所や手続きの内容によって変わります。
3-1. 司法書士報酬の全国平均は5万6,678円
2024年に実施された日本司法書士会連合会のアンケートによると、土地1筆・建物1棟、固定資産税評価額の合計が1,000万円のケースでは、売買を原因とする所有権移転登記の報酬は、全国平均で5万6,678円です。
司法書士報酬は各事務所が独自に設定しているため、同じ内容の登記でも金額は異なります。贈与や持分放棄など、登記原因が変われば報酬も変わることがあるため、依頼前に見積もりを取り、内訳まで確認することが重要です。
3-2. 司法書士報酬が高くなりやすい条件
司法書士報酬は、次のようなケースで高くなる傾向があります。
- 対象となる不動産の数が多い
- 不動産ごとに管轄の法務局が異なる
- 戸籍謄本や住民票などの取得も依頼する
- 登記原因や権利関係が複雑
見積もりでは、司法書士の報酬部分と、登録免許税や証明書の取得費、郵送費などの実費を分けて確認しましょう。
登録免許税・司法書士報酬以外にかかる税金・手数料・費用

共有名義を解消する際は、選ぶ方法に応じて次の税金や手数料・費用が発生します。
不動産取得税:不動産を取得した人
譲渡所得税・住民税:持分を売却した人
印紙税紙の売買契約書を作成した当事者
仲介手数料:仲介会社を利用して売買した人
ここからは、それぞれの負担者と金額の目安を解説します。
4-1. 贈与税
持分を贈与された人には、贈与税がかかることがあります。贈与税は、1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いた課税価格を基に計算します(暦年課税)。兄弟姉妹間の贈与では、この課税価格に一般税率を適用し、10%から55%の累進税率で税額を算出します。
【計算例】
500万円-基礎控除110万円=390万円
390万円×20%-控除額25万円=53万円
1,000万円-基礎控除110万円=890万円
890万円×40%-控除額125万円=231万円
贈与を検討するうえで注意したいのは、登録免許税よりも贈与税の負担が大きくなりやすい点です。
例えば、1,000万円相当の持分を贈与した場合、登録免許税が20万円でも、贈与税は計算例のとおり231万円になります。贈与税は贈与を受けた人が納める税金のため、受け取る人の税負担まで確認したうえで贈与するか判断しましょう。
4-2. 不動産取得税
売買や贈与によって持分を取得した人には、不動産取得税がかかります。
共有持分だけを取得した場合も、取得した持分に対応する価額が課税対象です。贈与では受贈者、共有者間売買や第三者への持分売却では買主が負担します。
税率は、土地と住宅が令和9年3月31日まで3%、住宅以外の家屋は4%です。課税標準には、原則として固定資産税評価額を使います。
固定資産税評価額1,000万円の不動産について、持分2分の1(課税対象額500万円)を取得した場合(住宅・税率3%)
- 課税対象額:500万円
- 不動産取得税:500万円×3%=15万円
贈与では、登録免許税・贈与税・不動産取得税が重なる場合があります。登録免許税だけで判断せず、税金全体の負担を確認したうえで贈与するか検討しましょう。
4-3. 印紙税
共有者間売買や第三者への持分売却では、紙の売買契約書に貼る印紙代として、印紙税がかかります。
令和9年3月31日までの軽減措置では、契約書の記載金額に応じて次の印紙税がかかります。
| 契約書の記載金額 | 印紙税(軽減措置適用) |
|---|---|
| 500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
売主と買主が契約書の原本を1通ずつ保管する場合は、それぞれの契約書に収入印紙を貼ります。電子契約で作成した電磁的記録には、原則として印紙税はかかりません。
4-4. 譲渡所得税・住民税
共有者間売買や第三者への持分売却によって利益が出た場合は、売主に譲渡所得税・住民税がかかります。
課税されるのは売却代金の全額ではなく、売却によって得た利益(譲渡所得)です。譲渡所得は、次の計算式で求めます。
譲渡価額-取得費-譲渡費用=譲渡所得
【計算例】
1,000万円の不動産の持分1/2(500万円)を売却した場合(所有期間5年超・特別控除は考慮しない)
- 売却価格:500万円
- 取得費:350万円
- 譲渡費用(仲介手数料など):20万円
- 譲渡所得:500万円-350万円-20万円=130万円
長期譲渡所得の税率(20.315%)で計算すると、譲渡所得税・住民税は約26万4,000円です。
※税率20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)算出
売却価格が取得費と譲渡費用の合計を下回り、譲渡所得が生じなければ、原則として譲渡所得税・住民税はかかりません。
4-5. 仲介手数料
共有持分の売却を仲介会社へ依頼し、売買が成立すると仲介手数料がかかります。
仲介手数料は、登録免許税や司法書士報酬とは異なり、不動産会社へ支払う成功報酬です。宅地建物取引業法の報酬規定によって、受け取れる上限額が定められています。
【売買価格ごとの仲介手数料上限(税込)】
| 売買価格 | 通常の速算式による上限 | 800万円以下の特例 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 売買価格×5.5% | 33万円 |
| 200万円超400万円以下 | 売買価格×4.4%+2万2,000円 | 33万円 |
| 400万円超800万円以下 | 売買価格×3.3%+6万6,000円 | 33万円 |
| 800万円超 | 売買価格×3.3%+6万6,000円 | 適用なし |
【計算例】
500万円の共有持分を仲介により売却した場合
- 売買価格:500万円
- 仲介手数料上限:500万円×3.3%+6万6,000円=23万1,000円(税込)
このケースでは、通常の報酬規定による仲介手数料の上限は23万1,000円(税込)です。
なお、2024年7月1日の報酬規定改正により、売買価格800万円以下の物件では、一定の条件を満たす場合に、売主・買主それぞれから上限33万円(税込)の仲介手数料を受け取れるようになりました。
ただし、800万円以下の売買であれば、自動的に仲介手数料が33万円になるわけではありません。宅建業者が媒介契約を締結する前に報酬額を説明し、依頼者の合意を得る必要があります。
また、買取業者へ直接売却する場合は、不動産会社自身が買主となるため、仲介手数料はかかりません。
まとめ:共有名義の解消は手数料だけでなく税金も含めて確認しよう

この記事のまとめ
- 共有名義の解消でかかる手数料・費用は、登録免許税と司法書士報酬が基本
- 贈与や売買など方法によって、贈与税・不動産取得税など追加でかかる税金が異なる
- 登録免許税は固定資産税評価額と持分割合、税率を基に計算する
- 売却では譲渡所得税や仲介手数料なども発生するため、総額で確認することが重要
- 共有持分の売却を検討する場合は、専門の買取業者へ相談すると手続きを円滑に進められる
共有名義の解消では、登録免許税や司法書士報酬に加え、贈与税や不動産取得税、譲渡所得税、仲介手数料など、解消方法によって必要となる手数料・費用が異なります。登録免許税だけを見て判断すると、後から想定外の税負担が発生することもあるため、どの手数料・費用が誰にかかるのかまで確認しておくことが大切です。
共有者との話し合いがまとまらず、持分の扱いにお困りの場合は、共有持分の買取という方法もあります。ラクウルでは、共有持分を専門に取り扱い、無料でご相談を承っています。共有名義の解消方法や売却の進め方でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
この記事のまとめQ&A
共有名義の解消にはどのような手数料がかかりますか?
共有名義の解消では、基本的に登録免許税と司法書士報酬がかかります。解消方法によっては、贈与税、不動産取得税、譲渡所得税、印紙税、仲介手数料などが追加で発生する場合があります。
共有名義の登録免許税はどのように計算しますか?
登録免許税は「固定資産税評価額×移転する持分割合×税率」で計算します。共有持分の移転では、不動産全体ではなく移転する持分に対応する評価額が課税対象となります。
司法書士報酬の相場はいくらですか?
司法書士報酬は依頼内容や事務所によって異なりますが、日本司法書士会連合会の2024年の調査では、土地1筆・建物1棟、固定資産税評価額合計1,000万円の所有権移転登記(売買)の全国平均は5万6,678円です。
共有持分を贈与すると登録免許税以外にも税金はかかりますか?
かかる場合があります。持分を贈与された人には贈与税や不動産取得税が課されることがあり、登録免許税よりも税負担が大きくなるケースもあります。贈与する際は税金全体を確認したうえで判断することが大切です。
共有持分を買取業者へ直接売却した場合、仲介手数料はかかりますか?
かかりません。買取業者へ直接売却する場合は、不動産会社自身が買主となるため仲介会社を介さず、仲介手数料は発生しません。


