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親の相続で、兄弟と一戸建てを共有名義にした。自分は住んでいないのに、固定資産税や修繕費の負担だけが続いている。
本当は早く手放したい。ただ、勝手に動いて関係がこじれたり、「それは違法だ」と言われたりするのが怖くて、結局いまも手を付けられないまま。
共有名義の不動産は、放っておくほど、いざ動こうとしたときに手続きを進めづらくなります。特に相続が絡むと、費用負担や連絡の問題、第三者の介入などが重なり、選択肢が狭まっていくケースも少なくありません。
本記事では、共有持分を相続したあとに起きやすい6つのトラブルと、兄弟と揉めにくく、法律的にも無理のない形で負担から抜ける方法をご紹介します。
この記事でわかること
- 相続後の共有名義不動産で起きやすい代表的なトラブル
- 他の共有者と揉めやすいポイント
- 共有状態を解消するための具体的な方法
- 共有状態解消を先送りしないほうがいいケース
目次
相続後の共有名義不動産で起きやすい6つのトラブル

共有状態の不動産は、放置している間に思わぬ形で問題が表面化しやすく、後から対応しようとすると選択肢が限られてしまうことがあります。
共有名義のままにしておくことで、次のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 不動産の活用・処分で意見が対立する
- 住んでいる共有者に対する家賃・使用料の請求で揉める
- 共有者と連絡が取れなくなる
- 税金や維持費の負担で揉める
- 知らないうちに第三者が共有者になる
- 自分の子どもや孫の代にまで問題が引き継がれる
実際にどのようなことが起こり得るのか、順番に見ていきましょう。
不動産の活用・処分で意見が対立する
共有名義の不動産は、共有者同士の意見対立が起こると、活用や売却といった判断がしにくいという欠点があります。これは、売却や賃貸、リフォームといった不動産の活用・処分・変更を行う場合、原則として共有者全員の同意が必要であると民法で定められているためです。
たとえば、
- 自分は地元に戻る予定がないため売却したい
- 兄は実家に思い入れがあるから残したい
- 弟は人に貸して収入を得たい
といったように意見が分かれると、どの選択肢も実行できず行き詰まってしまいます。結果として、不動産は使われることも売却されることもなく、ただ共有者同士の意見が対立しているだけの気まずい状況が続く可能性があるのです。
出典:e-Gov法令検索『民法251条』
住んでいる共有者に対する家賃・使用料の請求で揉める
「自分の名義も含まれる不動産を使用しているのだから、居住する兄弟に家賃を請求したい」と考える方も少なくありません。しかし、実際のところは、共有者の一人が建物に住んでいても、他の共有者が自由に家賃や使用料を受け取れるとは限りません。これは、「共有者は持分に関わらず、不動産全体を使用できる」と法律で定められているためです。
住んでいない側からすると、「自分の持分を使われているのに対価が支払われない」という不公平感を抱きやすい一方で、実際に家賃相当額を請求するには、金額の根拠や使用状況をめぐって争いになることもあります。
特に相手が兄弟や親族の場合、関係悪化を避けたい気持ちから、請求自体をためらってしまうケースも少なくありません。
出典:e-Gov法令検索『民法249条』
共有者と連絡が取れなくなる
共有名義の不動産で特に厄介なのが、共有者と連絡が取れなくなり、不動産が事実上動かせなくなるケースです。
相続をきっかけに共有状態になった不動産では、兄弟姉妹がそれぞれ別の場所で生活していたり、もともと深く連絡を取り合っていなかったりすることも少なくありません。そのまま年月が経ち、次第に連絡先が分からなくなり、連絡を取ること自体ができなくなるケースも見られます。
こうした状態になると、不動産を売却・処分しようと思ったときに、まず「相手を探すところ」から始めなければならなくなります。さらに、連絡を取らない間に相続が発生しており、誰が共有者なのか分からない状況になると、話し合いは一層難しくなります。
共有不動産では、「今は困っていない」という状況でも、連絡が途絶えるだけで将来の選択肢が一気に狭まることがあるのです。
税金や維持費の負担で揉める
家を使っていない側にとってつらいのは、名義を持っている限り、税金や維持費の負担から逃れられないという点です。固定資産税や都市計画税は毎年発生しますし、空き家であっても火災保険料や最低限の維持費用がかかることもあります。
税金や維持費は持分割合に応じて負担するのが原則ですが、連絡が取りやすい人が立て替えてしまい、あとから精算を求めて揉めるケースも少なくありません。住んでいる人が多く払うべきだと考える人もいれば、持分割合での按分を主張する人もおり、話し合いが止まってしまうのです。
法律上は請求できる立場であっても、親族間でお金の話を強く出すのは難しく、結果として負担を抱え込んでしまう方がいるのも実情です。
出典:e-Gov法令検索『民法253条』
知らないうちに第三者が共有者になる
共有状態を特に問題視せずに過ごしている間に、他の共有者が自分の持分を売却し、見知らぬ不動産業者などが新たな共有者になるケースもあります。
業者は不動産を「そのまま利用すること」ではなく、「共有状態を解消して活用・再販すること」をビジネスとしています。そのため、共有状態を解消する手段として、不動産全体の売却や、裁判所を通じた共有物分割(共有状態を解消するための法的な手続き)の手続きを提案するのが一般的です。
売却や共有物分割は、不動産業者から強制されるわけではありません。ただ、話し合いの相手が親族ではなく見知らぬ第三者になることで、これまで曖昧にしてきた共有関係について、法律に則った判断を含めて向き合わざるを得なくなるのです。
出典:e-Gov法令検索『民法256条』
自分の子どもや孫の代にまで問題が引き継がれる
自分の代では大きな問題にならなくても、共有名義のまま残すと、次に困るのは子ども世代です。
共有不動産の面倒なところは、「売る・貸す・直す」といった判断が必要になったタイミングで、意見の対立や連絡の不通、費用負担の不公平感が一気に表面化しやすい点にあります。ここまで見てきたトラブルが、共有者の増加や時間の経過により、より身動きの取りづらい形で引き継がれると考えると分かりやすいかもしれません。
特に、共有者との関係がすでに薄い場合は、先延ばしにするほど話し合いのハードルが上がります。将来の負担を増やさないためにも、「自分の持分だけでもどう扱うか」を早めに決めておく必要があるのです。
共有状態を解消する具体的な方法

共有状態の不動産は、放置するほど選択肢が減っていきますが、相続後であっても状況に応じた対処方法はあります。
ここでは、共有者全員の同意が取れない場合でも検討できる方法を含め、共有関係を解消する代表的な選択肢をご紹介します。
第三者に自分の持分のみを売却する
共有名義の不動産をどうするか考えたとき、「全員で話し合わないと何も決められない」という状況に疲れてしまう方は少なくありません。そんなときに選べるのが、自分の持分だけを売却する方法です。
不動産全体を売るには共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分については、法律上、他の共有者の了承がなくても売却できます。兄弟間で話が進まない、連絡が取りづらいといった場合でも、単独で動ける点が大きな特徴です。
もっとも、「不動産の一部の権利だけ」を欲しがる一般の買い手はほとんどいません。実際には、共有持分を専門に扱う不動産業者が主な売却先になります。価格は一般流通で売却する場合よりも低くなるものの、買い手探しに時間がかからず、比較的早く現金化できるケースが多いのが実情です。
「この不動産のことで、これ以上振り回されたくない」「自分の代で一区切りつけたい」と感じている方にとっては、最も現実的な選択肢になり得ます。
出典:e-Gov法令検索『民法206条』
自分の持分を放棄する
共有関係から離れる方法として、自分の持分を放棄するという選択肢もあります。持分の売却と同じく、放棄も所有者が単独で行え、放棄した分の所有権は他の共有者に移ります。
ただし、持分放棄による所有権の移転は、法律上、無償で権利を渡す「譲渡」とみなされます。受け取る側に贈与税が課される可能性があるのに加え、固定資産税や維持費の負担割合も増えるため、不満や対立につながりやすいのが実情です。
共有関係を早く終わらせたい気持ちから検討する方も多いのですが、放棄は他の共有者に新たな負担を生む方法でもある点には注意が必要です。
共有物分割訴訟を申し立てる
共有者同士の話し合いがどうしても進まない場合、最終的な手段として「共有物分割請求訴訟」という方法があります。これは、共有状態をどのように解消するかを、裁判所に判断してもらう手続きです。
裁判所は、共有者の誰かが買い取る、売却して代金を分けるなど、状況に応じた解決方法を提示します。裁判所による決定には法的な強制力があるため、他の共有者が反対していても、共有関係を終わらせることが可能です。
ただし、時間や費用がかかるうえ、親族関係はほぼ確実に悪化するため、「どうしても他の方法が取れない場合の最終手段」と考えたほうが無難です。
共有者同士で協力できるなら、全体売却や持分の贈与も視野に
共有者全員から「売却で問題ない」と合意がとれるのであれば、不動産全体を一つの物件として売り、売買代金を持分割合に応じて分ける方法があります。この場合、共有持分だけを個別に売るよりも、一般市場で買い手がつきやすく、価格も高くなりやすい点がメリットです。
ただしこの方法は、共有者全員の同意と、売却手続きへの協力(書類・印鑑など)を得られることが前提となります。誰か一人でも反対したり、連絡が取れなかったりすると成立しません。
また、「持分の贈与」についても、家族間で所有関係を整理するために検討するケースがあります。しかし、税金や管理費の負担が偏りやすく、気持ちと実務の両面でハードルは低くありません。
とはいえ、とはいえ、共有者同士の関係性が良好で、手続きへの協力も見込める場合には、選択肢の一つになり得ます。
相続後の共有不動産で、判断を先送りできないケース

共有名義の不動産は、必ずしもすぐに動かなければならないとは限りません。ただし、状況によっては、判断を先延ばしにすることで負担やリスクが大きくなる可能性もあります。
ここでは、特に早めに行動したほうがいい代表的なケースを2つご紹介します。
現在誰も住んでおらず、今後も利用する予定がない
空き家のまま放置された戸建ては、時間が経つほど管理の問題が表面化してきます。人の出入りがなくなることで、建物の劣化が進み、雑草の繁茂や外壁の傷み、屋根や設備の不具合が、気づかないうちに重なっていきます。
問題なのは、「使っていないから関係ない」とは言えない点です。倒壊や部材の飛散、景観の悪化などによって近隣に影響が出た場合、責任を問われるのは居住者ではなく所有者です。誰も住んでいなくても、名義を持っている以上、管理から完全に切り離されることはありません。
さらに、管理状態が悪化した空き家は、自治体から「特定空家等」に指定される可能性があります。指定されると指導や勧告の対象となり、固定資産税の住宅用地特例が外れることもあります。自分では使っていない不動産で、税負担だけが重くなる状況も起こり得るという点は、見過ごせないリスクです。
出典:国土交通省『「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン) 』
相続の予定がある
相続が控えている状況で共有名義の不動産を放置していると、その不動産は「動かせない状態」のまま次の相続に入ってしまいます。相続が重なるたびに共有者が増え、連絡や合意形成の手間も増えるため、売る・貸す・直すといった判断がさらに難しくなります。
その結果、固定資産税や維持費の分担、使っている人との負担調整、連絡が取れない共有者への対応など、これまで自分が抱えてきた問題を、子どもに引き継がせる形になりかねません。将来の相続が見えている場合は、「自分の持分だけでもどうするか」を早めに決めておく方が、家族に余計な負担を残さずに済みます。
まとめ:共有名義の不動産は、動かさないことが自体がトラブルにつながる

共有持分の相続放棄についてのまとめ
- 共有名義の不動産は放置するほど、共有者同士の意見対立や費用負担といったトラブルが表面化しやすい
- 共有状態を解消するには、自分の持分だけを売却するのが最も現実的な選択肢
- 不動産を誰も使用していない・相続の予定がある場合は、早めに専門家に相談したほうが良い
共有名義の不動産は、「何もしないで持ち続けるだけ」のつもりでも、意見の対立や費用負担、相続の重なりなどによって、思わぬ形でトラブルに発展しやすい性質があります。特に、すでに住んでおらず、他の共有者とも距離がある場合は、時間が経つほど選べる道が限られていきます。
「勝手に動いて関係を壊したくない」と悩む方も多いですが、今のうちに持分を整理しておくことは、将来子どもや孫に負の遺産を引き継がせないための賢い決断でもあります。
「将来のために整理しておく」一歩は、急いで決断することではなく、まず今の持分の状態と取れる選択肢を確認しておくことから始まります。
ラクウルでは、共有持分・相続・空き家・二次相続リスクに関するご相談に特化した窓口を設けております。査定だけのご利用、情報収集だけのご相談も歓迎しております。もちろん、ご相談いただいたからといって売却を急かすことはありません。
他の共有者との関係を壊したくない、子どもや孫に負担を残したくない、といった個別のご事情がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事のまとめQ&A
相続で共有名義の不動産を放置すると、なぜトラブルになりやすいのですか?
共有名義の不動産は、活用や売却に共有者全員の同意が必要なため、意見が対立すると何も決められなくなります。さらに、税金や維持費の負担、連絡が取れない共有者の発生、次の相続による共有者増加などが重なり、時間が経つほど問題が複雑化しやすくなります。
共有名義の不動産で特に起きやすいトラブルには何がありますか?
代表的なトラブルとして、売却や活用方針で意見が対立する、住んでいる共有者への使用料を巡って揉める、固定資産税や維持費の負担で不満が生じる、共有者と連絡が取れなくなる、知らない第三者が共有者になる、といったケースが挙げられます。
共有名義の不動産を解消するには、どのような方法がありますか?
共有状態を解消する方法には、共有者全員で不動産全体を売却する方法のほか、自分の共有持分のみを第三者に売却する、持分を放棄する、話し合いができない場合は共有物分割請求を検討する、といった選択肢があります。状況に応じて現実的な方法を選ぶことが重要です。
他の共有者と話し合いができない場合でも、単独でできる対処法はありますか?
不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要ですが、自分の共有持分だけであれば、法律上は他の共有者の同意なしに売却することが可能です。共有持分を専門に扱う業者に売却することで、共有関係から単独で抜ける選択肢もあります。
共有名義の不動産で、判断を先送りしないほうがいいのはどんなケースですか?
現在誰も住んでおらず今後も利用予定がない空き家の場合や、近い将来に相続が控えている場合は、判断を先送りするとリスクが大きくなります。空き家の管理責任や税負担が続くだけでなく、次の相続で共有者が増え、さらに身動きが取れなくなる可能性があります。



