コラム

共有名義の土地を解消するには?合意の有無による方法の違いを解説

相続をきっかけに土地が親子や兄弟の共有名義になり、解消したいと思っても、何から手を付ければよいのか分からない方は少なくありません。共有者が売却に反対している、認知症で話し合いができないなど、共有者間で合意できないケースもあります。土地を分けて所有したくても、そもそも分筆できるのか判断できず、話が進まないこともあるでしょう。

共有名義の土地を解消する方法は、共有者間で合意できるかどうかと、土地を今後どうしたいかによって決まります。1人の名義にまとめる、土地全体を売却して現金で分ける、土地を分筆してそれぞれ所有するといった希望に合わせて、適した方法を選びます。

本記事では、共有名義の土地を解消する方法を状況別に紹介したうえで、共有者間で合意できる場合とできない場合に分けて解説します。土地を分筆するための条件や費用も紹介するので、ご自身の状況に合った方法を判断する際の参考にしてください。

 

この記事でわかること

  • 共有名義の土地を解消する方法
  • 状況に合った解消方法の選び方
  • 土地を分筆するための条件
  • 分筆時の接道・敷地面積の基準
  • 共有者と合意できない場合の対処法

 

共有名義の土地の解消方法一覧

共有名義の土地の解消方法を検討する男性

共有名義の土地を解消する方法は、共有者間で合意できるかどうかと、土地を今後どうしたいかによって異なります。

まずは、ご自身の状況に当てはまる方法を確認してみましょう。

 

状況 希望 解消方法
合意できる 1人の名義にまとめたい 代償分割
合意できる 土地を手放して現金で分けたい 換価分割
合意できる 土地を複数に分けて所有したい 現物分割 ※分筆条件の確認が必要
合意できない 共有状態そのものを解消したい 共有物分割請求
合意できない 自分だけ共有関係から抜けたい 持分売却

 

合意できる場合は2章、土地を分筆できる条件と費用は3章、合意できない場合の方法は4章で詳しく解説します。

共有者間で合意できる場合の3つの解消方法

共有名義の土地と住宅について話し合う男女

共有者全員が共有名義の解消に合意している場合は、代償分割換価分割現物分割の3つの方法があります。

土地を誰か1人に残すのであれば代償分割、土地自体を手放すのであれば換価分割、土地を分けてそれぞれ所有するのであれば現物分割を検討します。

2-1. 他の共有者の持分を取得して単独名義にする

代償分割は、一方の共有者が他の共有者の持分を買い取り、土地を単独所有する方法です。土地そのものを物理的に分けないため、分筆できない土地でも選択できます。

持分を取得した後は、所有権移転登記を行い、土地を単独名義に変更します。この際、登録免許税のほか、司法書士に登記を依頼する場合は報酬がかかります。売買ではなく無償で持分を譲り受けると、贈与税が課される可能性もあります。

 

2-2. 土地全体を売却して現金を分ける

換価分割は、共有名義の土地全体を売却し、売却代金を持分割合などに応じて共有者で分ける方法です。

誰も土地を利用する予定がなく、全員が手放すことに合意している場合に向いています。土地を現金に換えることで持分割合に応じて分けられるため、誰が土地を取得するかで調整する必要がなく、公平に共有関係を解消しやすい点がメリットです。

2-3. 土地を分筆してそれぞれ単独名義にする

現物分割は、土地を分筆し、分けた後の土地をそれぞれの共有者が単独で所有する方法です。分筆とは、登記簿上一筆の土地を複数の土地に分ける手続きを指します。

共有名義の土地は、1つの土地に対する権利を複数人で持っている状態であり、土地そのものが持分割合に応じて分かれているわけではありません。たとえば2人が2分の1ずつの持分を持っていても、土地を半分ずつ所有しているのではなく、1つの土地全体を2人で共有している状態です。そのため、土地を物理的に分けてそれぞれ所有するには分筆が必要です。

ただし、すべての土地を希望どおりに分筆できるわけではありません。分筆できる土地の条件と、手続きにかかる費用については次章で解説します。

土地を分筆する前に確認したい条件と費用

土地の分筆にかかる費用を考える男性

土地を分筆する際は、分筆そのものに必要な条件だけでなく、分筆後の土地の使いやすさも考える必要があります。ここでは、分筆前に押さえておきたいポイントと費用を解説します。

3-1. 分筆には共有者の同意・境界の確定が必要

共有名義の土地を分筆するには、共有者間で分け方について合意したうえで、隣地との境界を明らかにする必要があります。

境界が確定していない土地は珍しくありません。特に古くから所有している土地では、境界標が見当たらない、登記簿の面積と実際に測量した面積が異なる、地積測量図が古い・そもそも備え付けられていないといったケースがあります。塀やフェンスがあっても、それが正式な境界と一致しているとは限りません。

このような場合は、土地家屋調査士が地積測量図などの資料と現地の状況を調査し、隣地所有者と境界立会いを行います。境界点や境界線について双方が合意したら、境界確認書などを作成して境界を確定します。

共有者同士が分筆に合意していても、隣地との境界が明らかにならなければ分筆を進められません。隣地所有者と境界の位置について合意できない場合は、法務局が筆界を特定する「筆界特定制度」や、裁判で境界を確定する「境界確定訴訟」によって解決する方法もあります。

3-2. 宅地利用①接道義務を満たせるか

土地を分筆する際は、分筆後の土地がそれぞれ接道義務を満たせる形にすることも考えておく必要があります。

建物を建てる敷地は、原則として幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。これを接道義務といい、要件を満たさない土地には原則として建物を建てられません。

たとえば、道路に面した部分を一方の土地だけに割り当てると、もう一方が接道義務を満たさない土地になる可能性があります。分筆自体はできても、建築できない土地を作れば用途が限られ、将来売却する際にも買い手が見つかりにくくなるおそれがあります。

そのため、面積や持分割合だけで分けるのではなく、それぞれの土地が道路に接する形で分筆できるかまで考えて分け方を決めることが大切です。前面道路の種類や幅員は、自治体などが公開している指定道路図指定道路調書などで調べられます。

3-3. 宅地利用②最低敷地面積を確保できるか

地域によっては、敷地の細分化を防ぐため、建物を建てるために必要な「最低敷地面積」が定められています。基準を下回る土地には、原則として建物を建てられません。

たとえば横浜市では、第一種・第二種低層住居専用地域のうち一定の地域について、容積率に応じて100㎡・125㎡・165㎡の最低敷地面積を定めています。最低敷地面積が100㎡の地域で200㎡の土地を2つに分ける場合でも、分け方によって一方が100㎡を下回れば、その土地では原則として建築できなくなります。

最低敷地面積は地域によって異なるため、分筆する際は土地が所在する自治体の都市計画情報などを調べたうえで、分け方を決める必要があります。

3-4. 土地の分筆にかかる費用

土地の分筆では、主に境界確定測量分筆登記の費用がかかります。

境界確定測量の費用は、40万〜80万円程度が目安です。資料調査や現地測量、隣地所有者との立会いなどを行うための費用で、隣接地の数や土地の広さ・形状、境界標の有無によって金額が変わります。

分筆登記には、10万〜50万円程度かかります。分筆する位置を決め、地積測量図などを作成して法務局へ登記を申請するための費用です。すでに境界が確定している土地では、10万〜20万円程度に収まるケースもあります。

境界確定測量から分筆登記まで行う場合、総額60万〜110万円程度が目安です。道路や水路など、国や自治体が所有する土地との境界(官民境界)を確定する必要がある場合は、道路管理者などとの調整が加わるため、70万〜110万円以上かかるケースもあります。このほか、登記申請に伴う実費も必要です。

共有者間で合意できない場合の2つの解消方法

共有名義の土地の解消方法に悩む男性

共有者が土地の売却や分割に反対している場合でも、共有状態を解消する手段は残されています。

共有状態そのものを解消したい場合は共有物分割請求、自分だけ共有関係から抜けたい場合は持分売却を検討します。

4-1. 共有物分割請求をする

共有物分割請求とは、共有者同士の話し合いで解決できない場合に、裁判所の手続きを通じて共有状態を解消する方法です。ここでいう「分割」は土地を物理的に分けることだけではなく、誰か1人の単独所有にするなど、共有関係そのものを解消することを指します。

裁判所は、土地の状態や共有者の事情などを踏まえて分割方法を決めます。土地を分筆して各共有者が取得する方法や、1人が土地を取得して他の共有者に金銭を支払う方法があり、これらが難しい場合などには競売によって土地を売却し、代金を持分に応じて分けます。

判決までは半年〜1年程度かかるとされ、争点が多ければさらに長期化する場合があります。弁護士費用や不動産鑑定費用が発生することもあり、競売になれば任意売却より売却価格が低くなる傾向があります。

ただし、共有者同士が裁判で争うことになれば、関係が悪化する可能性も否定できません。時間や費用、その後の関係まで踏まえて利用を判断する必要があります。

出典:e-Gov法令検索『民法第258条

4-2. 自分の持分を売却する

共有者から合意を得られない、連絡が取れないなどの事情があり、共有物分割請求による裁判も避けたい場合は、自分の持分だけを売却して共有関係から抜ける方法があります。

土地全体を売却するには共有者全員の同意が必要ですが、自分が所有する持分だけであれば、他の共有者の同意は必要ありません。複数人で1つの土地を共有している状態は残るものの、自分の持分を手放せば、その土地の共有関係から離れられます。

ただし、共有持分だけを購入しても土地全体を自由に利用・処分できないため、一般の個人を買主として売却するのは簡単ではありません。そのため、売却する場合は共有持分を専門に扱う買取業者が主な売却先になります。

土地全体を売却する場合より価格は低くなりやすいものの、他の共有者との話し合いや裁判を経ずに自分の持分を手放せる点は大きなメリットです。

 

まとめ:共有名義の土地は合意できるかどうかで解消方法を選ぼう

共有名義の土地の解消方法を説明する専門家

 

この記事のまとめ

  • 共有名義の土地は、共有者との合意の可否と土地をどうしたいかによって解消方法が変わる
  • 合意できる場合は、代償分割・換価分割・現物分割の3つから目的に合った方法を選ぶ
  • 土地を分筆するには共有者の同意や境界の確定が必要で、接道義務・最低敷地面積も考慮して分ける
  • 合意できない場合は、裁判所を通じて共有状態を解消する共有物分割請求を利用できる
  • 裁判を避けて自分だけ共有関係から抜けたい場合は、共有持分の売却も選択肢になる

共有名義の土地を解消したいと考えていても、共有者全員の意見が一致するとは限りません。話し合いがまとまらない場合は共有物分割請求という方法もありますが、時間や費用がかかるうえ、共有者との関係が悪化する可能性もあります。

共有状態そのものの解消にこだわらず、自分だけ共有関係から抜けたいのであれば、持分売却も選択肢の一つです。

共有持分の売却は、共有者の人数や関係性、持分割合などによって売却価格や進め方が異なります。「自分の持分はいくらで売れるのか」「他の共有者との話し合いをせずに売却できるのか」など、個別のご相談は下記フォームより無料で承っております。

査定だけ、話を聞くだけでも問題ありませんので、共有関係から抜けたいとお考えの方はお気軽にご相談ください。


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ラクウルスタッフ

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この記事のまとめQ&A

共有名義の土地を解消するにはどのような方法がありますか?

共有者間で合意できる場合は、1人の名義にまとめる代償分割、土地全体を売却して現金を分ける換価分割、土地を分筆してそれぞれ単独所有する現物分割があります。合意できない場合は、共有物分割請求や自分の共有持分だけを売却する方法があります。

共有名義の土地を分筆するにはどのような条件がありますか?

共有者間で土地の分け方について合意し、隣地との境界を確定する必要があります。また、分筆後に宅地として利用する場合は、それぞれの土地が接道義務や地域ごとの最低敷地面積などの条件を満たせるか確認することが重要です。

土地の分筆にはどれくらいの費用がかかりますか?

境界確定測量は40万〜80万円程度、分筆登記は10万〜50万円程度が目安です。境界確定測量から分筆登記まで行う場合は、総額60万〜110万円程度が目安となります。

共有者が土地の売却や分割に同意しない場合でも共有名義を解消できますか?

共有物分割請求を利用することで、裁判所の手続きを通じて共有状態の解消を求められます。裁判所は土地の分筆や1人による取得、競売による売却など、土地や共有者の事情に応じて分割方法を決めます。

他の共有者の同意なしに自分の共有持分だけ売却できますか?

はい。自分が所有する共有持分だけであれば、他の共有者の同意を得ずに売却できます。共有物分割請求による裁判を避け、自分だけ共有関係から抜けたい場合の選択肢になります。ただし、共有持分は一般の個人には売却しにくいため、共有持分を専門に扱う買取業者が主な売却先となります。

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