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親から相続した実家の共有持分を担保に、自分だけでお金を借りられないか――そう考えて銀行に相談したら断られた、という方は少なくありません。共有名義の不動産は、不動産全体への抵当権設定が必要な銀行ローンでは、他の共有者の同意なしに担保化することができないからです。
共有持分のみを担保にした融資を取り扱う独立系のノンバンクは存在しますが、金利や融資可能額の条件によっては、融資ではなく持分を売却して現金化したほうが合理的なケースも少なくありません。
本記事では、共有持分担保融資を実際に扱っている金融機関の条件や審査期間、競売になった場合のリスクと、持分を売却して現金化する場合の比較まで、実際の数字を交えて解説します。
この記事でわかること
- 共有持分のみで融資を受けられるノンバンク3社の条件
- 共有持分担保融資の金利相場と借入可能額の計算方法
- 残債の有無による借入可能額のシミュレーション
- 返済不能時の競売リスクと他の共有者への影響
- 融資と持分売却の手取り額・リスクの比較
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銀行は不可でもノンバンクなら可能!共有持分担保融資の実態

共有持分でお金を借りようと考えた際、まずは普段から馴染みのある銀行に相談される方が多いでしょう。しかし、結論から申し上げますと、銀行では原則として共有持分での融資は受けられません。
では、具体的にどのような金融機関であれば借入ができるのでしょうか。ここでは、実際の申込先の候補となるノンバンク(専門の金融機関)や、融資を受ける際の金利や審査期間などの数字について解説します。
1-1. 共有持分のみで融資可能な金融機関
銀行の不動産担保ローンの場合、不動産全体に抵当権を設定するため、他の共有者全員の同意や、物上保証人(自分の不動産を担保として提供する人)の協力が必須となります。そのため、自分の持分のみを担保にしたい場合は、銀行では実務上ほぼ断られてしまいます。
一方で、独立系のノンバンクの中には、他の共有者の同意がなくても共有持分のみを担保として融資を行っている機関があります。代表的な金融機関と、融資条件の目安は以下の通りです。
- 融資額100万円〜20億円、金利 年3.2%〜8.9%(実質年率15.0%以下)
- 24時間以内に結果連絡があり、最短翌営業日融資が可能
- 共有名義・共有持分ローンを主力商品として展開
- 全国対応
- 大口融資にも対応(上限は個別審査による)
- 固定金利 年1.95%〜7.80%(2025年6月時点)
- 簡易審査最短即日、融資実行最短3営業日
- 対応エリアは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(1都3県)
- 共有持分の取扱い実績あり
- 融資額300万円〜5億円、金利 年3.8%〜(実質年率15.0%以下)
- 審査最短即日、融資実行最短2日
- 対応エリアは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(1都3県)
- 共有名義・持分ローンを専門商品として展開
- 自己持分のみの融資や、他の共有者への通知不要にも対応
アサックスと丸の内AMSの対応エリアは1都3県に限定されていますが、関西や地方にお住まいの方でも、全国対応を行っている大手町フィナンシャルであれば相談が可能です。
※上記は2026年5月時点の各社公表条件に基づく目安です。
1-2. 金利相場と融資可能額の目安
共有持分のみを担保とする場合、一般的な銀行ローンよりも高金利になる傾向があり、契約金利は年5%〜10%程度、実質年率は15.0%以下が目安です。
また、実際の融資可能額は、不動産の評価額に対して「担保掛目(たんぽかけめ・LTV)」と呼ばれる割合を掛けて算出されます。担保掛目とは、担保となる不動産の評価額に対して、金融機関が実際に融資する金額の割合のことです。金融機関は返済不能時のリスクに備えて、評価額の全額ではなく一定割合だけを融資する仕組みになっています。
各社とも具体的な掛目は公表していませんが、共有持分は単独所有の不動産に比べて自由に活用や売却がしにくく流動性が低いため、金融機関の評価が保守的になる傾向があり、想定したほどまとまった金額を借りられないケースが多くなります。
1-3. 審査期間・融資実行までのスケジュール
融資の手続きは、一般的に仮審査(事前審査)と本審査に分かれます。
まずはインターネットや電話で、仮審査の申し込みをします。概算結果が出たのち、本人確認書類や収入証明書類、不動産の登記事項証明書などを提出し、担当者による現地調査などを経て本審査が行われます。
本審査通過後、正式な契約と法務局での抵当権設定登記の手続きを行い、実際に口座へ融資金が振り込まれる(融資実行)までには、おおよそ最短翌営業日〜2週間程度の期間を要するのが一般的です。
1-4. 共有者に知られる可能性はあるのか
ご自身の持分のみを担保にする場合、他の共有者の同意は不要であり、金融機関から他の共有者に対して直接「融資を行いました」という通知が行くことは原則としてありません。
しかし、融資を受けるとご自身の共有持分に対して抵当権が設定され、不動産の登記簿に記載されます。登記簿は誰でも取得して閲覧できる公的な記録であるため、もし他の共有者が何らかの理由で不動産の登記簿謄本を取得した場合には、そこに抵当権が記載されているのを見て、借入の事実を知られる可能性はあります。
自分の持分でいくら借りられる?担保評価算出の仕組み

金融機関から実際にいくら借りられるのかを知るためには、不動産の「評価額」がどのように決まるのかを理解しておく必要があります。
ここでは、金融機関が用いる評価手法と、ご自身のケースに当てはめて借入可能額をイメージするための計算方法やシミュレーションについて解説します。
2-1. 金融機関が用いる3つの代表的な評価手法
共有持分の評価では、まず「不動産全体の評価額」を算出するために、「原価法(積算法)」「収益還元法」「取引事例比較法」の3つの手法のいずれか(または組み合わせ)が物件タイプに応じて使い分けられます。
それぞれの概要と特徴は以下の表の通りです。
| 手法名 | 概要 | 主に使われる物件タイプ |
|---|---|---|
| 原価法(積算法) | 現在、同じ建物をもう一度建てた場合にかかる費用から、築年数の経過による劣化分を差し引いて価値を算出する方法。 | 戸建て住宅、更地など (※戸建てや更地などの担保評価で、主に建物価値の算出に用いられる) |
| 収益還元法 | その不動産を賃貸に出した場合に得られる将来の家賃収入などの収益から、必要経費を差し引いて現在の価値を割り出す方法。 | アパート、賃貸マンション、テナントビルなどの投資用・収益物件 |
| 取引事例比較法 | 近隣にある類似した不動産の過去の取引事例をもとに、立地や条件の違いを調整して価格を算出する方法。 | マンション(区分所有)、土地など |
2-2. 実際の借入可能額の計算方法とシミュレーション
上記の手法で算出された不動産全体の評価額をもとに、実際にいくら借り入れできるのかを計算します。
借入可能額の上限の目安は、以下の計算式で求められます。
借入可能額の上限の目安 ≒ (不動産全体の評価額 × 自分の持分割合 × 担保掛目) - 先順位抵当権の残債
前章でお伝えしたとおり、共有持分は単独所有の不動産に比べて流動性が低いため、金融機関の評価が保守的になり、担保掛目が低く設定される傾向があります。これを踏まえて、実際に手元に入る金額を2つのパターンでシミュレーションしてみましょう。
【パターンA】残債がないケース
- 不動産全体の評価額:3,000万円
- 自分の持分割合:1/2
- 担保掛目:5割(50%)
- 住宅ローン残債:なし
計算式に当てはめると、「3,000万円 × 1/2 × 50% = 750万円」となります。残債がないため、約750万円が借入可能額の目安です。
【パターンB】住宅ローンなどの残債があるケース
相続した不動産では、「被相続人が住宅ローンを完済していない」「2世帯住宅で他の共有者が住宅ローンを組んでいる」といったケースもよく見られます。不動産にすでに先順位の抵当権(住宅ローンの残債など)が設定されている場合、算出された金額からその残債分が差し引かれます。
- 不動産全体の評価額:3,000万円
- 自分の持分割合:1/2
- 担保掛目:5割(50%)
- 住宅ローン残債:1,500万円あり
計算式に当てはめると、「(3,000万円 × 1/2 × 50%) - 1,500万円 = マイナス750万円」となります。この場合、担保としての余力がないと判断され、借入可能額は実質ゼロとなり、融資自体を断られる可能性が高くなります。
このように、不動産全体の評価額自体は高くても、共有持分の場合は持分割合・担保掛目・残債の3つによって借入可能額が大きく目減りしてしまうというのが実情です。試算してみて「想定より少ない」と感じる場合は、融資以外の選択肢も視野に入れて検討する価値があります。
返済不能になった場合の競売リスクと他共有者への影響

共有持分担保融資は金利が高めに設定される傾向があるため、返済が苦しくなるケースも想定されます。ここで注意したいのが、返済不能に陥った場合のリスクが「自分の持分を失う」だけでは済まない点です。
ここでは、返済が滞ったあと何が起こり、最終的に他の共有者にまでどう影響が及ぶのか、一連の流れを順を追って解説します。
3-1. 自分の持分が競売にかけられ第三者のものになる
返済不能に陥ると、金融機関は設定した抵当権を実行し、ご自身の共有持分が裁判所を通じて競売にかけられることになります。
競売で持分を落札するのは、不動産業者や投資家など見知らぬ第三者です。第三者が新たな共有者として加わり、ご自身と他の共有者、そして落札者という三者で不動産を共有する状態に変わります。
共有関係にある不動産は、売却や賃貸、大規模な修繕といった重要な決定に共有者全員の同意が必要です。これまで親族同士で話し合えば済んでいた不動産の扱いを、利害も価値観も異なる見知らぬ第三者と協議しなければならない状況は、それだけでも大きな精神的負担になります。
その上、競売手続きが進む過程では、裁判所から他の共有者にも通知が届きます。ご自身が持分を担保に借金をしていたことや、返済不能に陥っている事実が他の共有者にも伝わるため、関係悪化は避けられません。
3-2. 共有物分割請求で他の共有者が家を失うリスクがある
競売をきっかけに第三者が共有者となった場合、最終的にはご自身だけでなく他の共有者まで家を失うリスクがあります。
共有持分を落札した第三者(不動産業者や投資家)の目的は、投資した資金を回収して利益を得ることです。そのため新たな共有者となった第三者は、他の共有者に対して自分の持分を買い取るよう迫ったり、逆に他の共有者の持分を売却するよう要求したりしてきます。
他の共有者がこれに応じない場合、第三者は裁判所へ「共有物分割請求訴訟」を提起します。共有物分割請求訴訟では、場合によっては不動産全体を競売にかけて売却代金を分ける「換価分割」が命じられることがあり、判決が下されれば他の共有者の意思に関係なく不動産全体が売却されてしまいます。
このように、投資目的で持分を持つ第三者は、共有関係を解消するために法的手段に出てくる可能性が高く、結果としてご自身だけでなく他の共有者と家族の住まいまで失う事態に発展しかねません。これが共有持分担保融資の最大のリスクです。
【徹底比較】共有持分担保融資か持分売却か

ここまでの解説の通り、共有持分担保融資は高金利であり、融資可能額も伸び悩む傾向にあります。加えて、万が一返済が滞れば他の共有者を巻き込むリスクも存在します。
融資の条件が思わしくない、あるいはリスクが大きすぎると感じた場合に、もう一つの選択肢として浮上してくるのが「自分の共有持分のみを売却して現金化する」という方法です。
では、融資を受ける場合と、持分そのものを売却して現金化する場合とでは、最終的にどのような違いが生じるのでしょうか。
以下の表は、評価額3,000万円の不動産(持分1/2)において、「500万円を融資で調達した場合」と「持分を売却して現金化した場合」の比較シミュレーションです。
| 項目 | 融資ルート(借入500万円) | 売却ルート(持分売却) |
|---|---|---|
| 手にする資金 | 借入金:500万円 | 即時手取り:約450〜750万円※ |
| 金銭的負担 | 総返済額:約608万円 (年利8%、5年返済、月々約10万円) |
なし |
| 不動産と権利 | 5年後も持分は保有 | 共有関係から完全離脱 |
| 残るリスク | 共有関係の継続 返済不能による競売リスクの継続 |
なし |
※共有持分の買取相場は市場価格(持分相当額)の3〜5割程度(物件の条件や他の共有者の状況などにより、金額が上振れするケースもあり)
このように、融資では高い利息を支払いながら共有関係と競売リスクを抱え続けるのに対し、売却は将来の負担を断ち切って確実に現金を得る手段になり得ます。
4-1. 確実に返済できるなら共有持分担保融資
もちろん、融資が適しているケースもあります。それはあくまで「一時的なつなぎ資金」として利用する場合です。
たとえば、「数カ月後に事業の売掛金が確実に入る」といったように、短期間で確実にローンを完済できる見込みが立っているのであれば、持分担保融資は有効な選択肢となります。逆に言えば、将来の返済計画に少しでも不確実な要素がある場合は、利用を慎重に判断すべきです。
4-2. 継続的な資金難なら持分売却で現金化
もし継続的な資金繰り難が見込まれる状況であれば、融資よりも「自分の共有持分を専門の買取業者に売却して現金化する」方法をおすすめします。
融資はあくまで借入なので、いずれ元本と利息を返済しなければなりません。継続的な資金難で収入の見通しが立ちにくい状況では、返済原資を確保し続けること自体が大きな負担になります。万が一返済が滞れば、3章で解説した競売リスクが現実化し、ご自身だけでなく他の共有者まで巻き込むことになります。
一方、売却であれば返済義務はなく、現金化した時点で資金繰りの問題が一区切りつきます。さらに共有関係そのものから離脱できるため、固定資産税や将来の修繕費といった継続的な負担からも解放されます。
4-2-1. 自分が売却した場合は他の共有者を巻き込まないのか
「自分が売却した場合も、買取業者は第三者なのだから、結局他の共有者を巻き込んでしまうのではないか」と気になる方もいるかもしれません。
確かに買取業者も第三者にあたりますが、共有持分の取扱いに精通した専門業者であれば、他の共有者との交渉や持分の整理を訴訟ではなく話し合いベースで進めるノウハウを持っています。融資の返済不能から競売に至った場合の落札者(投資目的の業者)とは違い、トラブルを大きくせずに共有関係を整理することが可能です。
前章でご説明した通り、融資の返済が滞れば、結果的に見知らぬ第三者が介入し、他の共有者を裁判や競売などの重大なトラブルに巻き込むリスクがあります。そうしたリスクを将来にわたって抱え続けるよりも、ご自身の持分を適正な価格で買い取ってもらい、共有関係のトラブルやリスク自体を手放す方が、合理的かつ安全な解決策となるでしょう。
まとめ:まずは持分の価値を知ることが判断の第一歩

この記事のまとめ
- 共有持分のみの融資は銀行では受けられず、独立系ノンバンクが申込先になる
- 契約金利は年5〜10%程度、担保掛目も保守的に設定される傾向がある
- 借入可能額は「評価額×持分割合×担保掛目−先順位抵当権の残債」で算出される
- 返済不能になれば共有物分割請求訴訟で他の共有者まで実家を失うリスクがある
- 継続的な資金難なら、共有持分の売却でリスク自体を手放す選択肢が現実的
融資にせよ売却にせよ、判断の出発点になるのは「自分の共有持分が、いまいくらの価値を持っているのか」を正確に知ることです。査定額が分かれば、融資で提示された掛目や金利の条件が妥当かを判断できますし、売却した場合に手元へ残る金額も具体的にイメージできます。
共有持分は単独所有の不動産と違い、評価が難しい分野です。一般的な不動産仲介会社では適切な査定が出ないことも多いため、共有持分専門の買取業者に相談するのが確実です。
ラクウルでは、共有持分・担保融資との比較・売却後の手残り試算に関するご相談に特化した窓口を設けております。査定だけのご利用、情報収集だけのご相談も歓迎しております。もちろん、ご相談いただいたからといって売却を急かすことはありません。
融資と売却で迷っている、提示された融資条件が妥当か確かめたい、といった個別のご事情がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事のまとめQ&A
共有持分だけを担保にして融資を受けることはできますか?
銀行では原則として難しいですが、共有持分担保融資を扱う独立系ノンバンクであれば、他の共有者の同意なしで融資を受けられる場合があります。
共有持分担保融資の金利相場はどのくらいですか?
共有持分担保融資の金利は一般的な銀行ローンより高く、年5~10%程度が目安です。実質年率は15.0%以下に設定されるケースが一般的です。
共有持分ではいくらくらい借りられますか?
借入可能額は「不動産全体の評価額 × 自分の持分割合 × 担保掛目 - 住宅ローンなどの残債」で計算されます。共有持分は流動性が低いため、担保掛目は低めに設定される傾向があります。
返済できなくなった場合、他の共有者にも影響がありますか?
返済不能になると、自分の共有持分が競売にかけられ、第三者が共有者になる可能性があります。その後、共有物分割請求訴訟に発展すると、他の共有者まで不動産全体を失うリスクがあります。
共有持分担保融資と持分売却はどちらが良いですか?
短期間で確実に返済できる見込みがある場合は融資が選択肢になります。一方、継続的な資金難がある場合は、返済義務や競売リスクを避けられる共有持分売却の方が合理的なケースもあります。



