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親から相続した実家が兄弟との共有名義になっており、固定資産税の通知書が自分宛てに届くため、毎年一人で立て替えて支払っている……。そんな状況にお悩みではないでしょうか。
結論として、あなたが立て替えた固定資産税は、他の共有者に請求・回収が可能です。さらに、毎年の立て替えや請求の負担を根本的になくしたい場合は、ご自身の持分のみを売却し、共有関係から完全に抜け出すという選択肢もあります。
本記事では、固定資産税の仕組みから立て替え分を回収する手順、そして共有トラブルを解決する方法までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 立て替えた固定資産税を回収するための求償権と具体的な手続き
- 共有名義の不動産で固定資産税の納税通知書が代表者に届く理由
- 共有者全員が負う「連帯納税義務」と持分割合による負担の考え方
- 他の共有者が払わないまま滞納すると起こる延滞金や差押のリスク
- 共有状態を解消して固定資産税トラブルから抜け出す方法
目次
立て替えた固定資産税を他の共有者から回収する手順と法的な対処法

代表者が他の共有者の分まで固定資産税を立て替えた場合、その金額を請求する正当な権利があります。もし口頭での請求に応じてもらえないケースであっても、段階を踏んで法的な手続きをとることで立替分を回収することが可能です。
ここでは、立て替えた税金を確実に回収するための4つのステップと、相手が認知症や行方不明といった特殊な事情を抱えている場合の対処法を解説します。
1-1. 【STEP1】「求償権」に基づく直接請求と「5年」の時効
自分の負担分を超えて固定資産税を立て替えた場合、他の共有者に対してその分を請求する「求償権」という権利が認められています。まずは、相手に口頭や電話、メールなどで返してほしいと伝えましょう。
ただし、この求償権には時効があり、立て替えて支払った日から5年が経つと、原則として請求できなくなってしまいます。「いつか払ってくれるだろう」と先延ばしにしていると、法的に回収できなくなるリスクがあるため、放置せずに早めに行動することが大切です。
1-2. 【STEP2】公的な証拠を残す「内容証明郵便」の送付
直接伝えても支払いに応じてもらえない場合は、内容証明郵便を利用して請求します。これは、いつ、誰宛てに、どんな内容の手紙を送ったかを郵便局が公的に証明してくれるサービスです。
親族間のやり取りでは、「言った・言わない」の水掛け論になりやすいため、請求した事実を客観的な証拠として残しておくことが重要です。
また、「これ以上放置すれば法的手段をとる」という強い意思表示にもなるため、相手にプレッシャーを与えて支払いを促す効果も期待できます。
1-3. 【STEP3】裁判所を通じた「支払督促」や「訴訟」
内容証明郵便を送っても無視される場合は、簡易裁判所を通じた「支払督促」や「訴訟」といった法的手続きに進みます。支払督促は、裁判所の書記官が相手に支払いを命じてくれる略式的な手続きです。
相手が通知を受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、次のステップである強制執行の準備に入ります。
もし異議が出された場合は通常の訴訟へ移行しますが、過度に心配する必要はありません。固定資産税の立て替えは納付書や領収書といった明確な証拠が手元に残るため、「自分が代わりに支払った事実」を裁判所に認めてもらいやすい傾向にあるからです。
1-4. 【STEP4】給与や口座を差し押さえる「強制執行」
支払督促に対して相手が異議を出さなかった場合や、訴訟でこちらの主張が認められたにもかかわらず、それでも自発的に支払わない場合の最終手段が「強制執行」です。
裁判所で確定した権利をもとに申し立てを行うことで、相手の財産を差し押さえ、強制的に立替分を回収することができます。
差し押さえの対象となるのは、預貯金や給料、自動車のほか、共有名義になっている不動産の持分なども含まれます。実際には、現金化しやすく確実に回収できる預貯金や給料から優先して差し押さえが行われるのが一般的であり、この手続きが実行されれば、相手の意思に関係なく確実に立替分を回収することが可能です。
1-5. 共有者が認知症や行方不明の場合
ここまで相手が支払いに応じない場合の回収ステップを解説しましたが、そもそも共有者本人が認知症や行方不明で、直接の請求すらできないケースもあるでしょう。そのような状況であっても、適切な法的手続きを利用して解決を図ることが可能です。
共有者が認知症などで判断能力を失っている場合は、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任してもらいます。選任された後見人が本人に代わって財産管理を行う仕組みで、選任以降は後見人に対して立替分の請求を行うことになります。
共有者が行方不明で連絡が取れないケースでは、家庭裁判所で「不在者財産管理人」を選任してもらう方法が有効です。選任された管理人が、行方不明者の財産の範囲内で固定資産税の納税や立替分の返済に対応してくれます。
ただし、どちらも家庭裁判所へ多数の書類を提出するなど、手続きが複雑で手間もかかります。そのため、ご自身だけで抱え込まず、弁護士や司法書士といった法律の専門家にサポートを依頼しながら進めるのが確実です。
立て替えずに滞納を放置するとどうなる?「延滞金」と「差押」の可能性

「他の共有者が払ってくれないなら自分も払うのをやめよう」と固定資産税を滞納してしまうと、結果的にご自身にも不利益が生じる可能性があります。ここでは、立て替えずに放置した場合にどのような影響があるのかを解説します。
2-1. 納付期限を過ぎると「延滞金」が加算される
共有者が支払わないからといって納税を放置してしまうと、納付期限の翌日から元の税額に対して「延滞金」が加算され始めます。
延滞金の税率は年度によって変動しますが、令和8年の特例基準では、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは「年2.8%」、それ以降は「年9.1%」という割合で加算されます。
滞納期間が長引けば長引くほど支払総額が膨らみ、本来なら払わずに済んだはずの余計な出費を強いられることになります。
2-2. 督促状を無視すると給与や預貯金が「差押」の対象に
納税を放置し続けると、金銭的な負担が増えるだけでなく、財産を失うリスクも生じます。自治体からの督促状などを無視して滞納し続けた場合、最終的に待っているのは財産の差し押さえ(滞納処分)です。
ここで注意しなければならないのは、連帯納税義務がある以上、「他の共有者が払わないから」という理由は認められない点です。滞納の原因を作った共有者だけでなく、代表者を含む「共有者全員」の財産が差し押さえの対象となってしまいます。
給与や預貯金を差し押さえられるだけでなく、共有不動産そのものを失う事態にもなりかねません。ご自身の生活や財産を守るためには、まずは一度立て替えてでも納付し、滞納状態を作らないことが重要です。
なぜ自分宛てに通知書が来る?固定資産税の「連帯納税義務」と代表者の仕組み

「そもそもなぜ自分にだけ税金の請求が来るのか」と疑問に感じる方は多いでしょう。実は共有名義の不動産における固定資産税には、単独所有とは異なるルールがあります。
ここでは、納税通知書が届く仕組みと、共有者が負う支払い義務について解説します。
3-1. 納税通知書が「代表者」に届く理由
固定資産税の納税通知書は、共有者ごとに分割されて送付されるわけではありません。原則として、市区町村が定めた「代表者1名」に対して全額分の納付書が送付されます。
代表者は、相続時に「相続人代表者指定届」を提出して選任されるのが一般的です。もし未提出の場合は、自治体が「その市区町村に居住している」「持分割合が多い」「登記簿の記載順位が早い」などの基準に基づいて選定します。
ただし、代表者はあくまで「書類の受取人」に過ぎません。通知書が届いたからといって、代表者だけが単独で全額の税金を負担する法的な義務を負っているわけではないということです。
では、本来の税金は誰がどれだけ負担するべきなのでしょうか。
3-2. 本来の負担割合は「持分割合」で決まる
その答えとなるのが「持分割合」です。共有者間における固定資産税の負担割合は、登記されている「持分割合」に応じて決まるのが原則です。
民法第253条第1項には「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う」と明記されており、固定資産税もこの費用に含まれます。
例えば、年間の固定資産税が12万円で、兄弟3人が3分の1ずつ共有している場合、法的な負担額は1人あたり4万円となります。
そのため、他の共有者が「利用していないから払う必要はない」と主張しても、法律上はそのような理由は認められず、持分に応じた負担義務が生じます。しかし、「それぞれが自分の負担額だけを個別に市町村へ払えば済む」というわけではないのが、共有名義の厄介なところです。
3-3. 共有者全員が全額の支払い義務を負う「連帯納税義務」とは
各共有者には持分に応じた負担額があるにもかかわらず、なぜ個別払いで済まないのか。その理由は、共有名義の固定資産税に課せられる「連帯納税義務」というルールにあります。これは、共有者全員が連帯して税金の「全額」を納める責任を負うというものです。
共有者の誰かが「お金がない」「住んでいないから払わない」と支払いを拒否した場合、他の共有者が代わりに払わない限り、共有者全員が固定資産税を滞納している扱いになってしまいます。つまり、滞納を放置すれば自分にもペナルティが及んでしまうということです。
こうした法律上の決まりがあるため、結果的に、納税通知書を受け取る代表者が他の人の分まで立て替えて納付せざるを得ないケースが多くなるのです。
実家に住み続けるか手放すか?共有状態を解消するための4つの手段

固定資産税の立て替え負担やトラブルを根本的に解決するには、原因となっている共有状態そのものを解消してしまうのが最も有効な手段です。ただし、ひとくちに解消と言っても「そのまま実家に住み続けたいか」、あるいは「手放してもよいか」によって適した選択肢が変わってきます。
ここでは、ご自身の状況に合わせた4つの具体的な解決策を解説します。
4-1. 実家に住み続けたい場合①:兄弟から持分を買い取る
今後もご自身が実家に住み続けたい場合は、他の共有者(兄弟など)から持分を買い取って、ご自身の単独名義にする方法があります。
単独名義になれば、翌年以降の固定資産税はすべてご自身の負担となりますが、他の共有者の分を立て替えたり、請求したりする手間はなくなります。また、将来の売却やリフォームなどもご自身の判断だけで自由に行えるようになる点もメリットです。
ただし、この方法には他の共有者が持分の売却に合意することと、適正な価格で買い取るための資金を用意できることが前提となります。
4-2. 実家に住み続けたい場合②:1年以上払わないなら「持分買取請求」で強制取得
他の共有者が持分の売却に応じない場合でも、あなたが立て替えた固定資産税を1年以上支払わない状況が続いているのであれば、民法第253条第2項に定められた「共有持分買取請求権」を行使できる可能性があります。
これは、滞納している共有者に対して適正な対価を支払うことで、相手の合意がなくても強制的に持分を買い取り、単独名義にできる法的な権利です。共有持分買取請求権を行使するには、立て替えた事実と、内容証明郵便などで請求(催告)してから1年以上支払われていないという客観的な証拠が必要です。
具体的な手続きとしては、ご自身で内容証明郵便を使って「買取権を行使する」と相手に通知し、適正な買取価格を支払って持分の名義変更(移転登記)を行います。
しかし、相手が価格に納得しない場合や、名義変更の手続きに協力してくれない場合は、最終的に裁判所へ調停や訴訟を申し立てて解決を目指すことになります。
4-3. 実家を手放してもいい場合①:全員で合意して不動産全体を売却
ご自身も実家に住む予定がなく、手放してもよいとお考えの場合は、兄弟全員で合意して不動産全体を売却し、売却代金を持分割合に応じて分ける方法(換価分割)が選択肢となります。
不動産を現金化すれば、翌年以降の固定資産税の負担が完全になくなるだけでなく、これまで立て替えていた分も売却代金の中から精算しやすいというメリットがあります。
ただし、不動産全体を売却するには「共有者全員の同意」が必須です。一人でも反対したり、連絡が取れなかったりする場合は手続きを進められません。
4-4. 実家を手放してもいい場合②:自分の「持分のみ」を専門業者に売却
「兄弟が売却に反対している」「話し合いすらできない」といった状況で、とにかく早く固定資産税の立て替えやトラブルから解放されたい場合は、自分の持分のみを売却して共有状態から抜け出す方法があります。
不動産全体を売却する場合とは異なり、自分の持分だけを売却するのであれば、原則として他の共有者の同意を得る必要はありません。売却して不動産の名義から外れれば、翌年以降は固定資産税の納税義務者ではなくなるため、毎年の金銭的な負担や、支払いをめぐる共有者とのやり取りから根本的に解放されます。
ただし、共有持分は一般の不動産市場では買い手がつきにくいのが実情です。そのため、共有持分の取り扱いに長けた専門の買取業者に直接買い取ってもらうのが、最も確実な方法と言えます。
まとめ:固定資産税の立て替えトラブルを解消したい方は【ラクウル】にご相談ください

共有持分の固定資産税についてのまとめ
- 共有名義の不動産では、固定資産税の納税通知書は原則として共有者の代表者1名に送付される
- 固定資産税の負担は持分割合に応じて決まるのが原則だが、納税義務は共有者全員が不動産全体の税額について連帯して負う
- 固定資産税を滞納すると延滞金が加算され、最終的には給与や預貯金などが差し押さえられる可能性がある
- 代表者が立て替えて納付した場合は、求償権に基づいて他の共有者へ支払いを請求できる
- 固定資産税トラブルを根本的に解消するには、共有持分の買取や売却などによって共有状態を解消する方法がある
実家の固定資産税を単独で立て替え続ける状況は、経済的な負担になるだけでなく、もし滞納状態に陥ればご自身の財産まで差し押さえられるリスクを伴います。立て替えた分は求償権を行使して回収することも可能ですが、内容証明の送付や法的手続きには時間や費用がかかり、根本的な解決にはならないケースも少なくありません。
実家に住み続けるにしても手放すにしても、共有名義を解消することが最善の選択です。もし、「他の共有者と話し合いができない」「自分の持分だけを手放して負担から解放されたい」とお考えであれば、専門業者を利用するのも一つの方法です。
私たち【ラクウル】は共有持分を専門に扱う買取業者として、あなたの持分のみの買取や権利関係の整理をサポートしています。他の共有者と直接関わらずに手続きを進めることも可能です。
解決に向けた具体的な選択肢を知るための第一歩として、まずは一度お問い合わせください。
この記事のまとめQ&A
共有名義の固定資産税を自分が立て替えた場合、他の共有者に請求して回収できますか?
できます。代表者が他の共有者の分まで固定資産税を立て替えた場合、他の共有者に対して立替分を請求する「求償権」が認められています。
立て替えた固定資産税の請求には時効がありますか?
求償権には時効があり、立て替えて支払った日から5年が経つと、原則として請求できなくなります。「いつか払ってくれるだろう」と先延ばしにすると、法的に回収できなくなるリスクがあるため注意が必要です。
口頭で払ってくれない兄弟には、どんな手順で回収を進めますか?
段階を踏んで法的手続きを取ることで回収が可能です。まず求償権に基づき直接請求し、応じない場合は内容証明郵便で請求した事実を証拠として残します。それでも無視される場合は、簡易裁判所で支払督促や訴訟を行い、確定した権利に基づいて強制執行(給与や預貯金などの差押)に進むことができます。固定資産税の立替分は納付書や領収書など明確な証拠が残るため、裁判所に認められやすい傾向があると説明されています。
共有名義の固定資産税を払わず滞納すると、何が起こりますか?
納付期限を過ぎると延滞金が加算され、滞納が続くと最終的に財産の差押(滞納処分)のリスクがあります。令和8年の特例基準では、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは年2.8%、それ以降は年9.1%の割合で延滞金が加算されるとされています。また、連帯納税義務があるため、滞納の原因を作った共有者だけでなく、代表者を含む共有者全員の財産が差押の対象となり得ます。
固定資産税トラブルを根本的に解消するには、どんな方法がありますか?
根本解決には共有状態そのものを解消するのが有効で、状況に応じて4つの手段が紹介されています。住み続けたい場合は①兄弟から持分を買い取って単独名義にする、②内容証明等で催告して1年以上支払われない場合に共有持分買取請求権を行使して強制的に持分を取得する方法があります。手放してもよい場合は③共有者全員で合意して不動産全体を売却して持分割合で分ける(換価分割)、④自分の持分のみを専門業者に売却して共有関係から抜ける方法があります。持分のみの売却は原則として他の共有者の同意が不要で、名義から外れれば翌年以降は固定資産税の納税義務者ではなくなるとされています。



